風呂場の鍵が壊れて恥ずかしい思いをしてしまった私

あれは忘れもしない中学2年生の夏休みの出来事だった。私は従姉妹の家に泊まりに行っていた。従姉妹の家はアパートになっていて、一階にある二部屋がぶち抜かれて作られている。同じアパートの大家さんの住む家に、従姉妹の父方の祖父母が住んでいた。いわゆる二世帯住宅といっていいだろう。そのアパートは今どき珍しく個別の部屋にはお風呂がついていないタイプの部屋で従姉妹の家にはお風呂がなく、大家の部屋しかお風呂がついてないため、従姉妹たちはいつもお風呂セットを持ったまま一旦玄関の外に出て、祖父母の家のお風呂に入りに行くというスタイルだった。その従姉妹とは母方が姉妹であるため、私はその祖父母とはあまり面識がないのだが、お風呂に入る時だけお邪魔させてもらううちに、まるで孫のようにかわいがってもらえるようになったことが嬉しかったものだ。

不特定多数の人間がそのお風呂に入ることが多いためか、そのお風呂には鍵がついていた。一応年頃だった私にはとてもありがたかったのだが、一度鍵を閉めて入り、出ようとしたら鍵が開かなくなってしまったことがあった。ど、どうしよう、鍵開かないよ…しかも私裸だし!仕方ないので私は大声で従姉妹の名前を呼んだ。「カギが開かないの」と言うと、「えぇ!?閉めちゃったのぉ?」と帰ってきた。どうやらこの鍵、普段は使われていないらしい。そのうち祖父母もやってきて、「今開けてやるからなー」と悠長な声が聞こえてきた。え、開けるって、だから私裸なんですけど。でもここから一生出られないのは、それはそれで困る。結局蝶番を工具で外し、何とか私は脱出することができた。従姉妹の父方の祖父は気を使ってくれたのか、開ける直前に外してくれていたのが申し訳ないやら恥ずかしいやら…。

あれから15年経った今でも、思い出すたびに穴に入りたくなる、恥ずかしい思い出だ。